義務教育で始まった金融教育。ここでは小・中学生向けにお金とは?からお金についての基礎を勉強しました。
次のステップ(高校生向けの金融教育)としてお金を得る方法やお金を運用する大切さとリスク、お金との向き合い方を解説していきます。
ここまで株式投資や投資信託について勉強をしてきました。“株式“などと同様に“債権“がなくてはこの社会は成り立っていきません。
今回は債権とは何かについて勉強していきましょう。
債権とは
債券とは、国や企業などの発行体が、投資家から資金を借り入れるために発行する有価証券です。
簡単に言うと、国や企業が投資家からお金を借りる際に発行する借金証明のようなものです。
債券には満期(返済日)が決められており、満期となる日には、額面金額(借金額)が投資家に払い戻されます。投資家は、発行体に対してお金を貸す代わりに利子をもらいます。この利子は銀行に貯金した際の利子よりも多くの利子を受け取ることができます。

また、債券は借金と同じですので、債券を発行する前には必ず以下のことが決められます;
- 額面金額(発行金額):債券を購入する際の金額
- 表面利率:額面金額に対して1年間に支払われる利子
- 償還日(しょうかんび):債券の返済期日で、額面金額が返済される日
- 利払日:利子が支払われる日
債券は株式投資と同様に途中で売却することも可能です。途中で売却さえしなければ額面全額が償還日に返済されます。
債券の種類
債券には、債券を発行する発行体、満期までの期間、利子の支払方法などさまざまな種類があります。利子の支払い方法により区分はやや難しくなるため、ここでは大まかな3区分について説明していきます。
債券を発行する発行体は主に公社債、民間債、外債に分けることができます。
- 公社債:国債や地方債など国や都道府県が発行する債券
- 民間債:社債と呼ばれ、一般企業などが発行する債券
- 外債:外国の発行体や海外市場で発行される円建ての債券
債券の利子についてはこれから説明するリスクに比例して異なります。
債券のリスク
それでは次に債券にはどのようなリスクがあるのか説明していきます。
- 信用リスク
- 価格変動リスク
- 為替変動リスク
- 流動性リスク
- 信用リスク:債券は借金と同じであると何度も説明した通り、債券の発行体が倒産したり破綻してしまった場合は借金が返ってこなかったり、利子が支払われない可能性があります。これらのリスクを信用リスクと言います。
- 価格変動リスク:債券を満期まで持たずに途中で解約する場合は売却時の市場価格で売却することになります。市場価格は世界情勢や企業の業績などによって変動します。これらのリスクを価格変動リスクと言います。
- 為替変動リスク:外貨建ての債券は為替相場の変動によって、円に換算した際に受け取れる金額が変わります。このリスクを為替変動リスクと言います。
- 流動性リスク:株式投資と同様に債券も需要と供給のバランスで成り立っています。持っている債券を売りたい時に買いたい人が現れない場合、債券を売りたいタイミングで売れないというリスクがあります。これを流動性リスクと言います。
利子が少ない債券はリスクが少なく、利子が高い債券はその分リスクが高いと言います。
債券の格付け
いろいろなリスクを学びましたが、これらのリスク(主に信用リスク)を簡単に判断するための1つの基準として『格付け』があります。
債券の格付けとは、格付機関が国・企業などが発行する債券の信用力や元利金の支払い能力などを分析して、その度合いをわかりやすい記号でランクづけしたものです。

上表は一般的な債券の格付け表です。ランクはAAAからDまで区分けされており、AAAになるほど信用度が高くなりDになるほど信用が無いとみなされています。
一方で利回りはAAAになるほど低く、Dになるほど高くなるのです。
世の中に絶対はありませんが、健全で優秀な会社や国はAAAにランク付され、倒産危機にある会社や国家破綻(デフォルト)の危険がある国の債券はDに近くなります。
金利と為替との関連性
債券投資を行うには金利や為替の動向を気にしておく必要があります。
債券は、金利とのつながりが強く、連動して価格が変動するので、金利がどのように推移していくのかをチェックしなければなりません。
- 金利が上がれば価格は下がる
- 金利が下がれば価格は上がる
為替とも重要なつながりがあります。為替は外貨建ての(外国のお金を利用した)債券は対象となる通貨の価値がどのように変化(円安・円高)するのかにより償還額(しょうかんがく・返ってくるお金)が変わってくるので重要です。
- 円安の場合;利息や償還額が増える
- 円高の場合;利息や償還額が減る
まとめ
債券を購入することも投資の1つです。投資には必ずリスクはあります。債券投資を行うにはこれまで学んだリスクを理解する必要があります。
また、金利や為替の影響を受けることから世の中の経済の仕組みを勉強して理解しておく必要があります。
これまで株式・投資信託・債券と勉強してきましたが、どれも現在の経済と深く結びついているのです。
株式と債券の違いは、株式は会社の一部を所有すること、債券はその会社へお金を貸すことになります。
そして最大の特徴は、会社が倒産したら、債券を持っている人は株主よりも優先して資金を回収することできることです。
投資をすることで経済を勉強する良い機会にもなりますので是非新聞やニュースから最新の世界経済を知りどのように株式や債券が推移しているのかを読み取ってみてください。
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